買い物には付き物とも言える「税金」は、当然ながら家を買う際にもしっかりと付いてきます。
建物本体、土地、諸経費、諸々の費用が掛かる住宅なだけに見落としてしまいがちですが決して忘れてはいけません。
今回はこの家の購入時に発生する「税金」についてご紹介。一見すると余計に費用が掛かってしまう、と考えてしまいがちですが実は得をすることだってあるのです。
家を建てる!どんな税金がかかる?
まずは最も基本的な家を建てる際に発生する税金をご紹介。
ここで紹介するのは「家を建てる時にだけかかる」税金、通称「イニシャルコスト」と呼ばれるものの紹介です。
家を建てる時にだけかかる税金
「イニシャルコスト」と呼ばれる家を建てる時にだけ発生する税金は大きく3つ存在、それぞれ「印紙税」「登録免許税」そして「不動産取得税」と呼ばれているものです。
家を建てる時限定で発生する税金があれば、当然建てた後に掛かる税金も存在します。
ひとまずはこのイニシャルコストに注目して解説していきます。いずれも住宅の購入時には大事なポイントとなるものです。
【印紙税】
家を購入する際にも必要となる収入印紙。この収入印紙により発生する費用が印紙税として必要になります。
そもそも収入印紙というものを知らない人もいますが、これは契約書等に貼られる切手のようなもの。
収入印紙を貼る事で税金を納めることになるのです。
【登録免許税】
家の購入ということはつまり建物の購入と土地の購入を行うということ。
この際ただお金を払い完了ではなく、「所有権保存登記」「移転登記」といった登記が必要になります。
この登記の際に発生するのが登録免許税。登記するのは他にも「抵当権設定登記」「表記登記」などがあります。
【不動産所得税】
その名の通り、不動産を取得した際に発生する税金。新築としてはもちろんですが、増築、贈与などでも発生します。
不動産所得税の計算は固定資産税評価額を基準に出され、各家庭ごとに金額も異なります。
納税は各都道府県から通知書が届けられることで行いますが、納期は地域により異なるので確認が必要です。
【必見】家を建てると税金の控除があるってホント?!
ただでさえ莫大なお金が掛かる住宅購入、そこに税金も加わるとなるとまた費用は膨れてしまいます。
数千万円の内のごくわずかな額となる税金ですが塵も積もればなんとやら、甘く見る事はできません。
そんな住宅購入ですがただお金が飛んでいくだけではない「税金の控除」というものもあるのをご存知ですか?
多額の費用の中の微々たるものかもしれませんが、是非利用しておきたい「控除」。
この「控除」について解説していきます。
どんな税金控除の制度がある?
税金控除制度は1つだけではなくいくつも設定されています。今回紹介するのは大きな6つの税金控除制度。
その条件、減税率、種類ごとに定められているものに違いがあり、中には期間限定の制度もあるので事前に自分がどの制度を受けられるのかしっかりと確認しておきましょう。
【住宅ローン控除】
税金控除制度の中でも特筆して名前の知られている住宅ローン控除。
ほぼ全ての人が組むであろう住宅ローンをもとに行われるので、住宅ローンを組んでいる人は是非利用しておきたい制度です。
実際にある程度名の知れた制度でありながらも受け取っていない人も少なくありません。
肝心の控除額は以下、
『年末時の住宅ローンの残債1%』×10年間
1年間の上限は40万円、上手くいけば10年間で400万円もの控除を受けることができるようになります。
金額も大きく非常にお得になる住宅ローン控除、これを適用するには「確定申告」が必要です。
確定申告をすることで過払い分が報告、その過払い分が控除額として返ってくるので、控除というよりも補助金に近い制度とも言えます。
対象となる住宅、条件についてもご紹介します。
『床面積が50㎡以上』
『住宅ローンの借り入れ期間が10年以上』
『ローン申込者の年収が3000万円以下』
確定申告の他にも住民票やローン残高証明、登記事項証明書等、必要書類も多いので取り忘れのないように確実に進めていきましょう。
各種書類は市役所等で受け取ることのできるものもありますが、契約時に受け取る工事請負契約書も必要となるので書類は大事に保管しておくことをおすすめします。
【投資型減税】
住宅ローン控除の適用条件の1つに「住宅ローンの借入期間が10年以上」というものがあります。
つまり住宅ローン控除は長期の住宅ローンを利用している人が使うことのできる制度。ローンの利用無く家を建てた人は適用されません。
そんな自己資金だけで家を建てた人のためにあるのがこの「投資型減税」という制度です。控除される金額は以下、
『長期優良住宅』・・・最大50万円
『長期優良住宅・低炭素住宅』・・・最大65万円
上の金額からも分かる通り、「投資型減税」は基本的に「優れた性能を持つ住宅」が適用される制度。
長期優良住宅、低炭素住宅といった住宅がターゲットになり、これらの認定を受けるために必要な工事の費用から10%が控除される仕組みになっています。
「投資型減税」も住宅ローン控除同様に確定申告を行うことで返って来る税金です。
住宅ローンを利用していないからといって税金控除を諦める必要はありません。
【登録免許税に関する減税】
「所有権保存登記」「移転登記」などの各種登録の際に発生する登録免許税。
それぞれにかけられている税金が減額されるもので、その種類と減額率は以下のようになっています。
『所有権保存登記』・・・0.4%→0.15%
『建物の所有権移転』・・・2.0%→0.3%
『土地の所有権移転』・・・2.0%→1.5%
『抵当権の設定登記』・・・0.4%→0.1%
条件としては「新築で50㎡以上」とされていますが、この税金控除は他とは少し違い適用は自動で行われます。
確定申告をする必要どころか、どこかへ申請する必要もないのでこの制度が存在しているタイミングで家を建てれば大丈夫です。
【不動産所得税の減税】
新築の購入、その他増築や贈与でも発生する不動産所得税。ここにも減税が適用されます。
そもそも不動産所得税は各都道府県から徴収されるものなので、地域によって金額は異なります。
都道府県により違いはあるのですが、実は不動産所得税の減税は自動的に行われます。
その減税率及び減税されるものは以下、
『土地及び住宅』・・・3%
『住宅以外の家屋』・・・4%
平成33年3月31日までという期間限定ではありますが、難しい申請をする必要なく適用されるので今の内に家を建てておきたいところ。
もちろん条件があり、
『床面積が50㎡以上、240㎡以下の自己居住』
とされています。控除は平成33年3月31日までなので、今から建てる相談をするところ、という人もまだ安心して適用されるはずです。
【固定資産税の減税】
建物や土地を取得する際に発生する固定資産税。ここでもまた減税が適用されます。
固定資産税の減税もまた期限が設定されており、『平成32年3月31日』までの新築された住宅となっています。
つまりこれが今回の減税の条件、それを踏まえた上でどれだけ減税されるのかその額をご紹介します。
住宅
『戸建て住宅』・・・3年間固定資産税の1/2の減税
『マンション』・・・5年間固定資産税の1/2の減税
土地
『小規模住宅用地』・・・評価額1/6
『一般住宅用地』・・・評価額1/3
固定資産税が減税される条件は上記のもの、しかしこれはあくまでも一般住宅における固定資産税の減税で、「長期優良住宅」などの性能の高い住宅に関してはさらに優遇されているという事実もあります。
実際に減税を行うには「固定資産税減額申告書」の提出が必要。一般住宅とは違う性能の高い住宅に至っては、別途必要になる書類もあるので確認が必要です。
【贈与税の非課税措置】
住宅に限らず、親族から財産となる物を貰う際に贈与税が発生します。
住宅とそれ以外では控除の条件も違い、住宅の場合は最大で1200万円までの物件なら贈与税が掛かりません。
もちろん条件や金額はもっと細かい取り決めがなされているので、まずはその1つ「消費税が8%の物件」についてご紹介します。
消費税8%の物件
2016年1月1日~2020年3月31日までに契約
『一般住宅』・・・700万円
『一定基準を満たす住宅』・・・1200万円
2020年4月1日~2021年3月31日までに契約
『一般住宅』・・・1000万円
『一定基準を満たす住宅』・・・1500万円
2021年4月1日~2021年12月31日までに契約
『一般住宅』・・・700万円
『一定基準を満たす住宅』・・・1200万円
このように消費税8%の物件という部分をベースに、契約期間により金額が設定されているのが分かります。
「非課税枠」として期間ごとに決められていますが、この「一定基準を満たす住宅」という部分でもまた細かな設定が行われています。
既に消費税10%の導入が決定済み、とうことは消費税10%の物件に関してはまた違った金額設定が行われていることも忘れてはいけません。
贈与税の非課税措置に関する条件は以下、
『贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、購入、新築、増改築等を行った物件の残金決済・引き渡しを行って、住宅を所有すること』
『贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、当住宅に居住すること。または、その後遅延なく入居することが確実と見込まれること』
『贈与を受けた年の子の合計所得金額が2000万円以下』
『子の年齢が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上』
『住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下』
他のものよりも条件が多く、複雑になっているようにも見えてしまいます。
そしてもちろんですが申請も必要、そこでもまたひと手間掛かってしまうので注意が必要です。
贈与税の非課税措置にはまず「確定申告」を行わなければいけません。
贈与税に関する申請にも必要書類がいくつかあり、「戸籍謄本」「新築取得の契約書、または登記事項証」「契約書の写し」などがそれに当たります。
贈与税には期限がいくつも設けられており、それにより複雑さを増していると言っても過言ではありません。
期限をチェックしながら、必要な物を1つずつ集めていくことが大切です。
控除額はどんな条件で変わる?
大まかな種類だけでも複数ある住宅の税金に関する減税措置。実際の中身は非常に複雑で、1つの減税措置をとってもいくつもの条件や手続きが必要になります。
さらに実際に控除される金額は様々な条件で移り変わり、なかなか実態を掴むことさえ難しいのが現状。
内容が難しいからと頭を抱えてしまいがちですが、実は控除額の違いはそこまで難しいものでもありません。
ポイントは「期間」「住宅タイプ」「消費税」の3つ。
家の建てた時、契約したタイミングや長期優良住宅、そして消費税8%の内に購入したのか10%の内に購入したのか、多くの減税措置がこの3つで変わります。もちろん他にも細かいものはたくさんありますが、まずはこの3つを頭に入れておきましょう。
控除額の変わる条件は様々、家を建てる際には契約を交わす前にまずは自身で調べつつ、相談しているメーカーや工務店でも話を聞いてみるといいかもしれません。
ローンを使わなくても控除はある?
家の購入を考える人の多くが住宅ローンを利用して契約へと進むでしょう。
住宅ローンは毎月決まった分だけ費用を払い続けるもので、長きに渡り支払いを続けなければいけない反面、毎月の支払いは比較的安く貯金が多くない方でも安心して住宅購入に踏み出せます。
しかし中には住宅ローンを利用せず、自身の資金だけで住宅の購入を行う人もいるのです。
そんな方はもちろん、住宅ローン控除を受けることができません。控除を受けられない購入方法、これは損なのではないか。
もちろんそんなことはありません。そうした方のために登場しているのが上でも紹介している「投資型減税」という制度。
「長期優良住宅」「低炭素住宅」という性能面に秀でた住宅限定ではありますが、しっかりと控除を受けることが可能になっています。
この制度、実は見落としがちな制度で、住宅ローン控除を受けたいからと住宅ローンを組む人もいるほど。
もしも自己資金のみで支払うことができるのなら、こうした制度もしっかりと活用していきましょう。
住宅ローン控除を簡単に自分で調べる方法はある?
家の購入にあたり、もはや当たり前の存在ともなっている住宅ローン、そして住宅ローン控除。
事前に調査をしてどれだけ控除されるのか、その数字を見ておきたいものですが何をどうすればいいのか、仕組みが複雑なだけになかなか難しいのが現実です。
しかしここで諦める必要はありません。実は「簡単に住宅ローン控除を調べる方法」というのがあるのです。
【シミュレーションサイトの利用】
多くの方が住宅ローン控除の情報に苦しんでいます。そんな方に救いの手を差し伸べるのが「住宅ローンシミュレーションサイト」なのです。
必要な項目を入力し実行ボタンを押すと簡単にシミュレーションを行ってくれます。
ローンの金額等が必要になるため、基本的な情報を押さえて利用してみることをおすすめします。
住宅ローンは家の購入にとても便利な制度ですが、利用している人の中には大きな損をしている人も出てきています。
既に利用している人ほど使ってみる意味があり、場合によっては住宅ローンの乗り換えも必要になるかもしれません。
家を建てた後もずっとかかる税金はある?
ここまでは家を建てる際に掛かる税金をご紹介してきましたが、実はまた別の税金「家を建てた後もかかる税金」というのが存在するのでそちらについてもご紹介しておきます。
家を建てる際に掛かる税金を「イニシャルコスト」というなら、家を建てた後に掛かる税金を「ランニングコスト」と呼んでいます。
ランニングコストには大きく2種類あり、1つが「固定資産税」もう1つが「都市計画税」です。
家を建てた後もずっとかかる税金
【固定資産税】
「控除」の項目で固定資産税の減税を紹介していますが、基本的に固定資産税は毎年発生してしまいます。
基本税額としては「評価額×1.4%」、ここから新築や住宅用地により減税されていくのです。
【都市計画税】
もう1つの税金がこの「都市計画税」。
あまり聞き慣れないものですが、これも固定資産税同様に不動産の所有として掛かる税金で、固定資産税同様に評価額から計算されます。
都市計画税は「評価額×0.3%」、新築住宅がこの税の減税を受けられるかは各地域により異なるので確認が必要です。
まとめ
今回は大きく6つの住宅に関する税金控除制度をご紹介してきました。
家を購入する人にはどれか1つは当てはまる可能性があるので、是非利用してお得に家を建てたいものです。
注意事項としては各条件の確認、そして期間の確認を行うこと。申告、申請も必ず遅れることのないように進めていきましょう。