家づくりを進めていく中で、重要なポイントの一つが「収納」です。せっかく素敵な家を建てても、散らかっていては台無しです。そんな時に活躍するのが、「納戸」です。
納戸とは?
納戸とは、収納をする部屋のことですが、押し入れ等とは異なり、人が歩き回れるような大きな収納スペースのことを指します。衣類だけではなく、家具などの大きいものも収納できます。
部屋として使えるような広さの納戸もありますが、納戸のほとんどが、建築基準法に定められている採光の基準を満たさないため、部屋として認められません。採光基準を満たしていないので、暗いです。その為、納戸内で作業をする際には照明が必要になります。
納戸をつけることのメリット・デメリットは?
メリット
部屋ごとに押し入れやクローゼットをつけるだけでなく、納戸をつけることのメリットはどのようなものでしょうか。例を挙げて、考えてみましょう。
収納量が増える
納戸のメリットの一つ目は、収納量が増えることです。押し入れやクローゼットには入らないような、大きな段ボールも簡単に入ります。
また、タンスなど、大切な収納家具だけれど、新しい家のテイストに合わなくなってしまったものも、そのまま納戸へ置くことができます。
直射日光がなく、色あせしにくい
納戸は、採光基準を満たしていないために暗くなってしまうことは、一見、デメリットのようですが、収納として使うにはメリットになります。直射日光が当たらなければ、大切な衣類などの日焼けの心配が無いからです。
ただし、部屋の大きさに対して十分な換気ができる大きさの窓があることは少ないので、換気扇を設けるなどの対策をしておきましょう。
さらに、エアコンや除湿機のためのコンセントも無い場合がほとんどですので、温度調節や湿度調節が必要な物を収納する場合に備えて、コンセントをつけておくと便利です。
外の物置に置いていた季節ものも収納できる
夏にしか使わないサーフボードや、冬にしか使わないスノーボードなど、季節物の大切な道具を屋外の物置にしまってありませんか。
納戸であれば、このような大きな物も収納できます。屋外にしまっておくよりも、劣化を防ぐことができる上に、防犯上も、屋内の納戸にある方が安全です。
デメリット
納戸のメリットとは反対に、デメリットも例を挙げて考えてみましょう。
十分な広さがあっても部屋として認められない
納戸は、部屋として使えそうな十分な広さがあっても採光基準を満たさないので、部屋として認められません。
実際に入居してから、書斎等の部屋として使用する場合もあるでしょう。しかし、基準法上は部屋として認められていないために、売買したり貸し出したりする際の広告には、部屋としてカウントして載せることはできません。
「3LDK」として利用できるのに、「2SLDK」のように記載しなければなりません。広さは変わらなくても、部屋数が少なく見えてしまうのです。
場所と費用
納戸は、大きな物を収納できるように広げすぎてしまうと、その分部屋の空間を削ることになってしまいます。部屋とのバランスをよく考慮して計画しましょう。
また、壁を作るだけでも工事費はかかります。部屋の中に現在使用している家具を置くか、納戸を作って収納と部屋をしっかりと分けるか、費用も考えましょう。
しまったまま放置してしまう
大きな納戸を作り、たくさんの物を詰め込めるのは良いですが、何をしまったのか忘れがちです。
長期間放置して、使用しないまま老朽化してしまうことのないように、納戸は、しまったものが把握できる程度の大きさにしておきましょう。
納戸が必要な人の特徴は??
納戸のメリット・デメリットはそれぞれご理解いただけたかと思います。では、どのような人に納戸が必要なのか、考えていきましょう。
広げてしまう人
こまめに収納せず、いろいろと物を広げてしまいがちな人に、納戸は有効です。広げたものを大きな箱にまとめてそのまま納戸に収納することができるので、急な来客でも安心です。
また、小さなお子さんがいるご家庭で、おもちゃを広げてしまっていても、すぐにまとめてそのまま収納できます。
部屋に物を置きたくない人
部屋には極力物を置きたくない人には、納戸が適しています。納戸は収納量も大きく、棚やハンガーパイプなど、様々な収納方法ができるので、部屋に出していた様々な種類の物をまとめて収納できます。
部屋に物を極力置かないようにすることで、部屋をより広く魅せる効果もあります。
プラスαの空間を持っておきたい人
納戸には、収納以外の使用方法もあります。すこし暗くてこぢんまりしたスペースは、書斎やお子さんの勉強スペースなど、集中する場所に最適です。
また、2畳ほどのスペースがあれば、小さなお子さんのプレイルームにもなります。扉のある納戸であれば、おもちゃで散らかり放題でも、扉を閉めてしまえば問題ありません。
上手く収納するためのポイントは?
せっかく大容量の納戸をつくっても、どこに何が入っているのか、探し物ばかりしていては非常にもったいないです。どこに何が収納されているのか、しっかりと把握できるような収納を考えてみましょう。
見える収納
何が収納されているか、一目で分かるよう、「見える」収納にすることが一番大切です。見えなくなると、収納した物を忘れてしまいがちになるためです。
箱に詰めていても、何が入っているのかを箱の正面にきちんと記載しておきましょう。また、箱を積み上げるのではなく、棚ごとに1段ずつ箱を置いていくことで、下にある箱を取り出すために上の箱を移動させることなく取り出すことができます。
奥行きを取りすぎない
奥行きのある収納をつくりがちですが、奥に置いた物が手前の物に隠れてしまうと、何を収納したか忘れやすくなります。
奥の物を取り出す際にも、手前の物を移動させてからになるので、とても面倒です。収納するものに奥行きを合わせて計画しましょう。
目線の高さを意識する
目線より上にあるものほど、忘れてしまいがちです。例えば、上の方にはハンガーパイプをつけて衣類をかけることで、目線の高さに衣類が来るようになります。
目に入る場所に物があると、置きっぱなしで忘れてしまうことも少なくなります。
納戸に窓は必要?窓の有・無で【徹底比較】!
納戸は、採光基準を満たすことが難しく、付いていても窓が小さかったりします。たとえ小さくでも、窓は必要でしょうか。考えてみましょう。
納戸に窓をつけることのメリット
まず、納戸に窓をつけることのメリットを考えてみましょう。
換気ができる
小さくても開閉できる窓があると、換気にとても有効です。納戸は頻繁に人の出入りがあるわけではないので、空気の循環が悪くなりがちです。
換気扇と合わせて使うことで、納戸内の空気の縦貫が良くなり、臭気対策になります。
湿度対策になる
納戸内の臭気と同じくらい対策が必要なのが、湿度対策です。収納したものにカビが生えないよう、窓を開けて湿度調節をすることができます。
除湿機でも湿度調節ができますが、タンクに水が満杯になると自動的に運転を止めてしまう除湿機が多いので、窓を少しあけておく方が安心です。
光を取り込める
納戸を将来的に書斎などに作り替える場合には、少しでも採光がとれた方が良いでしょう。採光基準を満たせなくても、自然光が入るだけで印象が大きく変わります。
納戸に窓をつけることのデメリット
反対に、窓を付けることのデメリットも考えてみましょう。
日焼け
窓があると、そこから光が入ってきます。取り入れる光の量は少なくても、日焼けしてしまうことがあります。変色させたくない物は、なるべく日光のあたらない場所に収納しましょう。
窓の前に収納できない
開閉できる窓の場合、窓の前に物を収納できなくなります。窓の開閉ができなくなるためです。窓の前に収納できなくなると、その分だけ収納量が減ってしまいます。
屋外から収納したものが見える
窓ガラスを通して、収納している物が外から丸見えなんてこともあります。透明ガラスでなく、不透明ガラスにしてもなんとなく見えてしまうこともあるので、プライバシーを重視する場合には窓が無い方が安全でしょう。
いかがでしたか。納戸の特徴を理解した上で、計画を立てましょう。