「廊下の幅」と聞いてピンとくる人は実は少ないのかもしれません。ほとんどの人がメーカー側の言う通りの廊下を設置しているのが現状です。
廊下と言ってもただの通路、そう考える人も少なくありませんが廊下も住宅を形作る大事な要素。歩きやすさ、暮らしやすさに直結するポイントとなります。
この廊下の理想を見つけるべく、今回は廊下に関する様々な情報をお届けしようと思います。
廊下の幅はどれくらいが理想?一般的な幅は?
まずは理想とされる廊下の幅、それを一般的な廊下の幅と比べて確認しておきます。
廊下一つとってもいろいろなことを考慮しなければならず、考え過ぎると混乱してしまうかもしれませんがまずはこの理想的なものを見ておけば大丈夫です。
一般的な廊下の幅
廊下の幅を見る際に必要なのは「モジュール」という寸法です。ほとんどの住宅で「尺モジュール」と呼ばれる寸法を採用しており、その基準が910mm。これをもって現在の一般的な廊下の幅は約75~80cmとなっています。
家庭によっては廊下の幅に大きなこだわりを見せないところもあるでしょう、しかしいざ引っ越しをする際に大型の家具が通らない、なんてことにもなり兼ねません。直線は問題にならなくても角を曲がる際に問題が発生する可能性も十分あります。
もしも大きな物を所有しているのなら、事前に廊下の幅についても確認しておく必要があります。
理想の廊下の幅は?
手すりをつける場合
家庭によっては身体の不自由な人がいる場合もあるはずです。そんな人の為に廊下に手すりを付けることもあり、中には車いすで廊下を渡るという人もいます。
そうした場合、上で紹介している一般的な廊下の幅では不十分さを感じることもあるでしょう。それら考慮した、理想の廊下の幅についてご紹介します。
車いすの平均的な物の幅は約60~70cm。それに手すりも考慮すると、90cm以上の幅を確保すれば十分と言えるでしょう。一般的な廊下の幅よりも少し増えることになります。
すれ違うことを考慮した場合
廊下は1人で使うものではなく、「すれ違い」も頭にいれておかなければいけません。そのためには一般的な75~80cmでは足りず、車いす、手すりを考慮した90cm以上も十分とは言えません。
なんとかすれ違える、という幅の取り方も理想とは言えず、楽にすれ違うようにできる廊下の取り方をするのが最も理想的です。
その際の幅は120cm。これだけ取ればたとえ車いすと人が鉢合わせても身体を大きく横向きにすることなくすれ違うことが可能です。
【一般住宅】廊下の幅についての口コミは?
廊下の幅に関して、「問題無い」とする声もあれば「もっと考えればよかった」というも聞こえています。それら良いものも悪いものも合わせて、廊下の口コミとしてご紹介します。
悪い口コミ
「メーカーに車いすを使用することを伝えて85cmで作ってもらいましたが、あきらかに失敗でした。もう少し余裕があれば通りやすくなったはずです」
「尺モジュールというものを採用しているらしく、91cmの幅を取る事ができるので大丈夫という声がありました。でももっとよく調べてみるとそれよりも広いメーターモジュールを採用しているメーカーもあり、もっとよく調べてこちらにすればよかったなと思っています」
良い口コミ
「尺モジュールでも実際には91cmではなく80cm前後になるらしく、余裕が欲しかったので広く設計してもらいました。廊下の幅に関しては口うるさく言っていたので安心しました」
「二世帯住宅を建てたので必然的に家族が廊下ですれ違う頻度が増えました。それを見越してメーカー側からも廊下を広くする提案があったのでメーカー選びが大事だと再認識しました」
「大きな本棚などの大型の家具があったので最初から広い廊下を作ってもらいましたが。一番役に立ったのは年に数回の模様替えです。暮らしはじめて別のところで活躍することもあるようです」
「小さな子供が何人かおり、皆して廊下をばたばたと駆け回るので広い廊下にしていてよかったと思っています。動きやすさというよりも安心面で効果を感じています」
まとめると
身体の不自由な人がいる家庭などではそのために事前に広めに取ることを想定していますが、当初考えていたものとは違った利点を見つける家庭も少なくないようです。
廊下が広すぎて不便になる、というところは見当たらず、気持ちの面でも暮らしの面でも広く取っておくことでメリットを感じる可能性は非常に高くなっています。
ちょこっと豆知識!建築基準法で廊下の幅員には決まりがある?!
最後に廊下に関するちょっとした豆知識をご紹介します。建築基準法に関するもので、家だけでなく国内の各施設での廊下に関する規定が書かれているというのです。
建築基準法施行令119条による廊下幅
これは「建築基準法施工令」として定められているもので、「第2節 廊下、避難階段及び出入口」に記載のものです。ここで挙げられているのは学校や病院等の各施設に置かれる廊下の広さ。以下でそれぞれの広さについて簡単にご紹介いたします。
“小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの” 1.8~2.3m(両側に居室がある廊下は2.3m)
“病院における患者用のもの、又は共同住宅のもの” 1.2~1.6m(両側に居室がある廊下は1.6)
※参考URL:http://best.life.coocan.jp/k-rei/rei05/02/rei_119.html
一般的な住宅の平均、75~80cmと比べると幾分大きく取られていることが分かります。ポイントとなるのはこれらを基準として定めていることで、書かれている項目「廊下、避難階段及び出入口」でも分かる通り緊急時のことも考慮して定められているのです。
特に学校や病院は人が多く滞在する施設。一度に廊下に多くの人が集まる可能性が高く、事故を防ぐためにも必要となります。
2階建て住宅の廊下の幅は規定なし!
施設での廊下の基準を紹介しましたが、一般住宅ではどうなのか。
実は一般的な2階建て住宅では廊下の規定はありません。一般的な平均は75~80cmですが、中にはこれを大きく下回る広さとなる廊下もあるようです。
住宅に合わせた設計が行われるので、自由度の高くなる箇所でもあります。
まとめ
一般的な住宅では廊下の幅に特別な基準はない。それゆえにメーカーが言う標準的なものを取り付けることも多くなっていますが、基準がないということはつまりいくらでもこだわるチャンスがあるということ。
たしかに普段なかなかこだわりを見せられる場所ではありませんが、広くした時のデメリットもあまり存在しません。
一度よく考えて相談してみると、いい結果に辿り着くかもしれません。