日本は、古くから木造の建築物を数多く建設してきました。
木造に関する知識を活かし、現在でも、戸建住宅の多くは木造で建てられています。
今回は、木造住宅のメリットをしっかりと確認していきましょう。
木造住宅のメリットは何?!
木造住宅を建てるメリットとは、第一に、建築費用が抑えられることです。
建築の規模や構造(在来やツーバイフォーなど)によって異なりますが、目安として木造の坪単価は55万円程度です。
それと比較して、鉄骨造(S造)は約85万円、鉄筋コンクリート造(RC造)は約95万円、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は約100万円となっています。
第二のメリットは、自由度が高いことです。
住宅を建てたばかりの頃と、実際に生活し始めてから10年後、20年後では、ライフスタイルは大きく変化します。
子どもが大きくなると個室が必要になり、さらに大きくなって巣立っていくと、個室が不要になります。
使用されなくなった個室の壁を抜いて大きなリビングにするなど、ライフスタイルに合わせて比較的自由に間取りの変更ができるのが、木造の特徴です。
木造は、柱や梁といった骨組みに、ボードを貼付けて壁や天井を作っています。
そのため、壁内部の骨組みを壊さなければ、壁の位置を自由に移動したり、2階の床を抜いて吹き抜けを作ることができるのです。
さらに、柱や梁などの骨組みを追加して、増築させることも可能です。
第三のメリットは、断熱性・吸湿性が高いことです。
日本の風土に合わせて作られた伝統的な木造住宅は、特に高温多湿な夏場を快適に過ごせるように風通しの良い間取りになっています。
しかし、断熱性能が低く冬場はとても冷えます。昔のように、囲炉裏で火を焚くできれば土壁の蓄熱性を活かして寒い冬も凌げますが、現代の暮らしでは常に火を焚いておくことはできません。
その時代の暮らしに合わせて、木造住宅は進化してきました。現代の木造住宅は気密性・断熱性に優れており、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。
住宅を断熱材でくるっと包むように、外気に接する面の壁内に断熱材を隙間無く充填させることで、外部からの熱の出入りを防ぐ構造になっています。
設置する窓についても、最近ではほとんどが断熱性・遮熱性のあるLow-Eガラスを使用したペアガラスになっています。
さらに断熱性能を高めたトリプルガラスも発売されています。
また、木材には調湿効果があり、湿度が高まれば湿気を吸収し、湿度が低くなれば湿気を放出します。
壁の仕上げ材に漆喰を使用したり、床は無垢材や畳にすると、調湿効果はさらに高まります。
湿度が高くなりすぎると結露を引き起こし、断熱材を劣化させたり構造材の腐食につながりますが、木造住宅では溜まった湿気を外部に放出できるよう、通気層を設けてしっかりと対策をしています。
第四のメリットは、健康・精神的に良いことです。
無機質な鉄筋コンクリート造(RC造)などと比較して、ぬくもりのある木造住宅は落ち着きをもたらします。
仕上げ材には、シートフロアやビニルクロスを使用せずに無垢材の床材や漆喰を使用するなど、自然素材を積極的に使うことで、さらに高いリラックス効果を望めます。
木造住宅のデメリットはある?
たくさんのメリットがある木造住宅ですが、デメリットはあるのでしょうか。
火災への不安!
木材は火に弱いというイメージがありますが、それは過去に甚大な被害をもたらした大火で、木造住宅が燃え尽きてしまったという経験に基づいているのではないでしょうか。
たくさんの木造住宅が被害を受けたという強い印象が残っているのは、昔は鉄筋コンクリート造(RC造)など、鋼材を使用した住宅は少なかったためです。
実際は、木造住宅でも十分な防火性能を発揮することができます。
新しく建てられる木造住宅はすべて、各地域で定められた防火性能をもったものになっています。
地域によって基準は異なりますが、木材を不燃材料で覆うことで優れた防火性能を発揮します。
一見、火に強く見える鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)ですが、ある一定の温度に達すると強度が急速に低下します。
それと比較して、木材は燃焼による急激な強度低下を起こすことはありません。つまり、一般的に木造住宅が火に弱いわけではないのです。
耐久性への不安!
木造住宅の耐久性についてはどうでしょうか。
構造別の法定耐用年数を見てみると、木造住宅は22年で、軽量鉄骨造(S造)が27年、重量鉄骨造(S造)が34年、鉄筋コンクリート造(RC造)が47年となっています。
この数値だけを見ると、木造住宅の耐久性能は低いように見えてしまいます。
しかし、木造住宅はライフスタイルに合わせて自由に壁位置等を変えられるのと同じように、古くなった柱等の構造材を自由に入れ替えることもできるのです。
実際に、古くなった構造材を新しくしたり補修したりして、1000年以上建ち続けている建築物もあります。
木造住宅は、建物全体がしなることで、力を分散させて耐震性能を発揮します。
強く固めて耐震性能を高めようとする鉄筋コンクリート造(RC造)等とは、地震に対する考え方が違うのです。
また、耐震等級というものによって、構造躯体の耐震性能を示すことができます。
等級は1~3まであり、等級3が最も高い耐震性能を持っています。計画の段階で、希望の耐震等級に合わせた設計をしましょう。
品質のばらつきがある
使用される木材に関して、品質にばらつきが出ることもあります。
木材は、水分を吸ったり放出したりすることで収縮するために、多少反ったり曲がったりするためです。
現在では、そうした材料のばらつきが無いように集成材を使用することがほとんどです。
上棟後、建築中の雨仕舞いや、金物の本数をなるべく少なくすることで、材料のばらつきをさらに抑えることができます。
検討している工務店や建築会社がどのような材料を使用しているか確認してみましょう。
工務店や建築会社を選ぶ際に注意すべきポイントやすべきこと
工務店や建築会社は、まず、住宅の新築工事をメインに請け負っているところに候補を絞りましょう。
新築工事は、ゼロから家を作るため家のすべてを熟知していなければなりません。
そのため、新築工事をメインに行っている工務店であれば、リフォームでも対応することができます。
次に、その技術力を見極めることが大切です。実際に、その会社が施行中の家を見学するといいでしょう。
家のデザインではなく、仕上げの質に注目しましょう。
さらに、計画地から工務店までの距離も大切です。引き渡し後のアフターフォローなど、近い場所に工務店や建築会社があると安心です。
害虫被害のリスクがある
木造住宅は、シロアリ等害虫被害のリスクがあります。これは、木造住宅特有の被害です。
家を建てる際には、必ず構造材へ防蟻処理を行っていますが、この処理に使用する薬剤の効果は最大5年間とされていて、5年を目処に再処理を行い、シロアリ対策をしましょう。
木造住宅の口コミ!
実際に、木造住宅に対する口コミを見ていきましょう。
悪い口コミ
音が漏れやすい
害虫被害や、気象災害による劣化がある
良い口コミ
ぬくもりがあり、安心できる
通気性が高い
リフォーム時に自由度が高い
建築費用が安い
まとめると
悪い口コミについては、それぞれ対策があります。防音性能については、断熱材を厚くしたり壁面に貼付ける石膏ボードを2重にするなどの対策が可能です。
また、害虫被害については先ほど述べたように定期的に処理を行うことで防ぐことができます。
こうした対策をすることによって、木造住宅のメリットを最大限に活かした家づくりができます。
ぬくもりがあり、自由度も高く、その上費用も抑えられる木造住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
木造住宅はどんな方におすすめ?!
自由な家づくりを楽しみたい方!
木造住宅の大きな特徴は、その自由度にあります。10年後、20年後のライフスタイルの変化に合わせて、自由に間取りの変更をしながら暮らし続けたい方におすすめです。
化学物質やホコリなどの健康上の問題が気になる方!
人工的なものは極力減らし、自然素材を使用したいという方にも、木造住宅はおすすめです。日本の風土に合わせて進化してきた木造住宅に暮らしてみてはいかがでしょうか。
なるべく予算を押さえたい方!
木造住宅は、鉄筋コンクリート造(RC造)等、その他の構造と比較して、費用を抑えることができます。予算を抑えたい方は、木造住宅で検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
木造住宅は、たくさんのメリットがあります。長く暮らし続けることができる家づくりをしていきましょう。